
今年もラスベガスで世界最大の家電ショーが始まった。本番が始まる前に開かれたメディア向け説明会で紹介された、コンシューマーテックのトレンドについて解説する。
まず、昨年からCESの主催社がCEA(Consumer Electronics Association)からCTA(Consumer Technology Association)と名前を変えたこともあり、CESも従来の家電ショーから真剣に脱皮を図っているということがうかがえた。
注目すべき3つのカテゴリー
CTAのシニアリサーチディレクターのSteve Koenig氏によると、注目すべき技術は、
- Ingredient Technologies
- In the Market
- Emerging Tech
の3つのカテゴリーだという。
Ingredient Technologiesは5G、AI(Artifitial Intelligence)、ロボティックスといった今後成長が期待される新たな技術。
In The Marketは指紋認証、顔認証などサービスの利便性を向上させる新たな技術や仮想世界と現実世界を融合させる技術。
Emerging Techは私たちの生活を豊かにしてくれるサービスとそれぞれ位置付けられている。
各カテゴリーのそれぞれの新技術はとても重要だが、CTAが特に注目していると思われるのが5Gだ。VR(Virtual Reality)、Smart City、Self-Driving Carといったサービスと通信が深く関わりを持っているからだ。
5Gが商用化されると4G/LTEと比べると通信速度が飛躍的に上がるため、VR(Virtual Reality)、Smart City、Self-Driving Carがリアルタイムに近い品質で提供できるようになる。どこでも5Gが利用できるようになるにはしばらく時間はかかると思われるが、徐々に利用できるエリアは広がっていくだろう。
AIは様々な分野での活用が期待されている。その一つに日本でも市場が広がり始めたスマートスピーカーがある。
CTAの予測によると米国のスマートスピーカー市場は2019年までは成長を続ける。企業はセキュリティの検知、問題の解決、自動処理による管理業務の削減をAIで実現し、コスト削減、効率化の向上、利益拡大に繋げたいと考えている。私たちの身近なところでは自動運転、スマートスピーカーを通じた双方向の会話などにAIが使われる。
また、今後大きく成長すると予測されているのがスマートシティだ。
これまでもスマートシティは注目されていたが、監視カメラ、温度センサーなどの環境センサー、交通量計測するセンサーを設置し、データを可視化するにとどまっていた。しかし、最近になって自動車メーカーが将来の自動車サービスを「モビリティサービス」と位置付け、自動車単体でモビリティサービスを実現するのではなく、社会環境と調和して実現するという流れが生まれている。
例えば、Connected Signals社が提供する信号データの分析結果や大学の研究室が実施している道路に埋め込まれたセンサーからの情報の分析により、交通量、交通状況を考慮した円滑なナビゲーションや自動運転を実現しようという動きがある。
注)Connected Signals社はCES 2018にも参加しているStartup企業
講演の最後にSteve Koenig氏は、「米国のコンシューマー向けコネクテッドデバイスは2021年まで成長し、それによる収入は2028年までは成長する」と説明した。
小糸製作所のAIでの取り組み
多くの日本企業がメディアデイに参加しているが、そのうち2社を紹介する。1社は小糸製作所(以降、Koito)で、もう一社はトヨタだ。
Koitoは米国のスタートアップと連携した映像認識に関する技術をUnveil Las Vegasという展示会に出展していた。
Koitoが実証実験を行ったパートナーはRealityAI社という米国のスタートアップだ。同社はAIを使った異音検知、画像認識、映像認識に強みがあるという。
この実証実験では、既存のセンサーを使って取得したデータをもとに、このAIエンジンを使うと、先行車両のテールランプ、対向車のヘッドランプの認識率がどの程度向上するかということを行ったということだ。
トヨタのモビリティプラットフォームへの取り組み
一昨年と発表では、TRI(Toyota Research Institute)のGill Pratt氏による、AIおよび自動運転の研究開発に関する発表だったが、今年は、豊田明夫社長から、「トヨタが考える将来のモビリティサービス」をテーマとした。
冒頭、EV(電気自動車)の取り組みに関する説明を行ったが、その後は、自動車メーカーからモビリティプラットフォーマーへとシフトするための構想を語った。
トヨタのライバルは既存の自動車メーカーではなく、Google社、Apple社、Facebook社といったソフトウェア企業だという。トヨタはモビリティプラットフォーマーへとシフトするためにソフトウェアの開発を加速させ、ハワイ市、サンフランシスコ市で実験をしているということだ。
また、トヨタは、e-Paletteというユニバーサルな自動運転プラットフォームを開発し、カーシェア、移動レストラン、移動オフィス、移動販売車、宅配トラックなどへの適応を目指す。すでにAmazon、DiDi、PizzaHat、Uber、マツダがe-Palette Allianceのメンバーとなっている。
post by IoT NEWS.jp
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